• 日本語
  • English
  • 中文
  • 한국어

CADデータからキャスト納品まで ― 制作フローを徹底解説

CAD 3D PRINT MOLD CAST FINISH CAD to CAST ― Full Production Flow 8 Steps to Your Jewelry

ジュエリーの量産やオリジナルアクセサリーの制作において、「CADデータからどうやって実物の金属製品になるの?」という疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

&.,castでは、3D CADデータの入稿から、3Dプリント出力、ゴム型作成、ワックス射出、鋳造(キャスト)、仕上げ、検品・納品まで、すべての工程をワンストップで対応しています。本記事では、ジュエリーキャストの制作フローを8つのステップに分けて、初めてご依頼いただく方にもわかりやすく徹底解説いたします。

なお、ジュエリーキャストの中核をなす「ロストワックス鋳造法」は、その起源を5,000年以上前の古代エジプトにまで遡ることができます。現代のジュエリー業界で使われているロストワックス精密鋳造は、第二次世界大戦後にアメリカで発展し、日本には昭和40年代(1960年代)に導入されました。御徒町をはじめとする日本のジュエリー産地で広く定着し、今日の高精度なジュエリー制作を支える基盤技術となっています。

制作フロー全体像 ― 8ステップ一覧

まずは全体の流れを俯瞰してみましょう。以下の表に、各工程の概要と目安の所要時間をまとめました。

ステップ 工程名 内容 目安時間
STEP 1 デザイン・CADデータ作成 3D CADソフトで原型データを作成 お客様側
STEP 2 3Dプリント出力 光造形方式で樹脂モデルを出力 数時間
STEP 3 ゴム型作成 焼きゴムまたは液ゴムで型取り 半日〜1日
STEP 4 WAX射出・ツリー組み ゴム型からワックス複製&組立 半日
STEP 5 石膏埋没・焼成 石膏で埋没後、高温で脱蝋焼成 約12〜16時間
STEP 6 キャスト(鋳造) 溶融金属を石膏型に流し込み 数時間
STEP 7 仕上げ・湯口処理 湯口カット、バレル研磨、磨き 半日〜1日
STEP 8 検品・納品 品質検査後、梱包・発送 当日

標準納期について

&.,castの標準納期はご入稿から4営業日です。数量や加工内容により前後する場合がございますので、お急ぎの場合は事前にご相談ください。

STEP 1: デザイン・CADデータ作成

ジュエリー制作の第一歩は、3D CAD(Computer-Aided Design)によるデータ作成です。ジュエリー業界で広く使われている代表的なCADソフトには以下のものがあります。

対応ファイルフォーマット

&.,castでは、以下のファイル形式でのご入稿を受け付けています。

データ入稿時のポイント

  • モデルの単位はミリメートル(mm)で統一してください。
  • STL出力時のメッシュ精度は高めに設定してください(公差0.01mm以下推奨)。
  • 中空構造や極端に薄い部分(0.5mm未満)はキャスト時に不具合が出る可能性があります。
  • データに不備がある場合は、当店で確認・修正のご提案をいたします。

STEP 2: 3Dプリント出力

CADデータをもとに、光造形方式(SLA / DLP)の3Dプリンターでレジン(樹脂)モデルを出力します。ジュエリーキャスト用の3Dプリントでは、一般的なFDM方式(積層式)ではなく、紫外線で液体レジンを硬化させる光造形方式を使用します。

光造形方式を使う理由は、25〜50ミクロンという極めて高い積層精度を実現できるためです。この精度により、ジュエリーの繊細なディテールや滑らかな曲面を忠実に再現できます。

使用するレジンには「キャスタブルレジン」と呼ばれる専用素材を使用します。このレジンは、後の焼成工程で灰分を残さず完全に燃え尽きる性質を持っており、鋳造時のクリーンな金属表面を確保します。通常の樹脂では焼成後に�ite残渣が残り、鋳造品質を著しく低下させてしまうため、キャスタブルレジンの使用は必須です。

3Dプリントのメリット

STEP 3: ゴム型作成

3Dプリントで作成した原型をもとに、ゴム型(ラバーモールド)を作ります。このゴム型は、量産時にワックスパターンを複製するための「マスター型」となる、非常に重要な工程です。

ゴム型には大きく分けて2種類あり、デザインの形状や用途によって使い分けます。

種類 特徴 適したデザイン 価格目安
焼きゴム(加硫ゴム) 高温加圧で硬化。耐久性が高く、量産向き シンプルな形状、リング、ペンダント 2,000円〜
液ゴム(シリコンゴム) 常温硬化。柔軟性が高く、複雑な形状に対応 アンダーカットの多いデザイン、繊細な造形 3,500円〜

焼きゴム型は、ゴムシートの間に原型を挟み、専用のプレス機で約150〜170度の高温をかけて加硫(硬化)させます。コストが抑えられ、型の耐久性も高いため、シンプルなデザインの量産に最適です。

液ゴム型は、液状のシリコンゴムを原型の周囲に流し込み、常温で硬化させます。焼きゴムよりも柔軟性に優れるため、アンダーカット(逆テーパー)のある複雑な形状でも、型からの抜き取りが容易です。ただし、耐久性は焼きゴムに劣るため、大量生産にはやや不向きな面があります。

どちらを選ぶべき?

迷った場合は、まず焼きゴムをおすすめします。多くのジュエリーデザインは焼きゴムで対応可能です。透かしや立体的な装飾が複雑なデザインには液ゴムをご提案しますので、お気軽にご相談ください。

STEP 4: WAX射出・ツリー組み

完成したゴム型に溶かしたワックス(蝋)を射出して、金属に置き換えるための「ワックスパターン」を大量に複製します。ワックスインジェクターと呼ばれる専用機器で、約65〜75度に溶かしたワックスをゴム型に注入し、冷却後に取り出すことで、原型と同じ形状のワックスモデルが得られます。

量産の場合、このワックスパターンを1つずつ手作業で「ツリー」と呼ばれる棒状のワックスに溶接していきます。ちょうど木の幹に枝が生えるように、中心の棒(湯道)から放射状にワックスパターンを取り付けるため「ツリー」と呼ばれます。

このツリーの設計は非常に重要で、溶融金属が均一に流れ込むよう、パターンの配置角度や湯口の太さを調整する必要があります。ツリー設計の良し悪しが、鋳造品質を大きく左右する職人技の見せどころです。

STEP 5: 石膏埋没・焼成

ツリーに組まれたワックスパターンを、専用の耐火石膏(インベストメント)で埋没させます。ステンレス製のフラスコ(円筒型の容器)にツリーをセットし、真空撹拌した石膏スラリーを流し込みます。真空撹拌することで気泡を除去し、鋳造面の精度を確保します。

石膏が硬化した後、電気炉に入れて段階的に温度を上げながら約12〜16時間かけて焼成します。この焼成プロセスでは、以下の3つのことが起こります。

  1. 脱蝋(だつろう):約150〜300度でワックスが溶け出し、石膏型の中が空洞になります。これが「ロストワックス(失蝋)」の名前の由来です。
  2. 残留物の焼却:約300〜600度で残ったワックスの炭素分が完全に燃焼します。
  3. 石膏型の強化:約700〜750度で石膏が最終硬化し、溶融金属を受け入れる準備が整います。

焼成温度のプログラムはお金種や鋳造物のサイズによって微調整されます。温度管理の精度が、最終製品の品質を決定づける重要な工程です。

STEP 6: キャスト(鋳造)

いよいよ本工程の中核、キャスト(鋳造)です。焼成が完了した石膏型を炉から取り出し、所定の鋳造温度まで下がったところで、溶融した金属を流し込みます。

&.,castでは、真空加圧鋳造機を使用しています。石膏型内を真空にすることで空気を除去し、同時に溶融金属に圧力をかけて型の隅々まで金属を行き渡らせます。この方式により、細かいディテールの再現性が高まり、巣(気泡による空洞)の発生を最小限に抑えることができます。

ロストワックス鋳造法の歴史

ロストワックス(失蝋)鋳造法の歴史は古く、約5,000年以上前の古代エジプトやメソポタミア文明にまで遡ります。当時はミツロウを使って原型を作り、粘土で埋めて焼成し、溶けたロウの代わりに溶融金属を流し込むという、現代と基本原理が同じ手法が用いられていました。

現代のジュエリー産業で使われている精密ロストワックス鋳造は、第二次世界大戦後にアメリカで発展しました。航空機エンジン部品の精密鋳造技術がジュエリー分野に応用されたのが始まりです。日本には昭和40年代(1960年代)に導入され、御徒町をはじめとするジュエリー産地で急速に普及しました。

鋳造温度は金属の種類によって異なります。シルバー(銀)であれば約960度、K18ゴールドであれば約1,000〜1,100度、プラチナであれば約1,770度以上の高温で溶融させます。金属が石膏型に流し込まれた後、自然冷却または水冷によって固化させ、石膏型を崩して鋳造物を取り出します。

STEP 7: 仕上げ・湯口処理

石膏型から取り出された鋳造物は、ツリーの形のまま金属になっています。ここから製品として仕上げるために、いくつかの工程を経ます。

湯口カット

まず、ツリーの幹(湯道)から個々の製品をニッパーや専用カッターで切り離します。製品とツリーを繋いでいた部分を「湯口」と呼び、この切断作業を湯口カットといいます。湯口部分は後でヤスリやリューターで丁寧に削り取り、痕跡が残らないようにします。

バレル研磨

湯口を処理した後、製品をバレル研磨機にかけます。バレル研磨とは、研磨材(メディア)と製品を一緒に回転させることで、表面を均一に磨く方法です。鋳造面の微細な凹凸が滑らかになり、金属光沢が生まれます。

最終仕上げ

お客様のご要望に応じて、鏡面仕上げ、マット加工、いぶし加工などの最終仕上げを施します。&.,castでは、キャスト後の基本的な湯口処理とバレル研磨を標準工程として含んでおり、追加の仕上げ加工も承っております。

STEP 8: 検品・納品

仕上げが完了した製品は、1点ずつ目視検品を行います。検品では以下の項目を確認しています。

検品に合格した製品は、丁寧に梱包のうえ発送いたします。標準納期は4営業日ですが、数量の多い量産案件やプラチナなど特殊金種の場合は、事前にスケジュールをご相談させていただきます。

ご来店での受け取りも可能です

御徒町の店舗にて直接お受け取りいただくことも可能です。JR御徒町駅より徒歩圏内のアクセスしやすい立地ですので、お気軽にお立ち寄りください。

よくあるご質問(FAQ)

Q. CADデータがないのですが、依頼できますか?

はい、可能です。手描きのスケッチや参考画像をもとに、当店でCADデータを作成することもできます。デザインの複雑さに応じてCAD制作費が別途かかりますので、まずはお見積もりをご依頼ください。

Q. 1個だけのサンプル制作も対応していますか?

もちろん対応しています。1個からでもキャスト可能です。量産前のサンプル確認としてのご利用も多く、真鍮(g単価100円・地金込み)でのコストを抑えた試作もおすすめしています。

Q. 対応可能な金種を教えてください。

シルバー(SV925)、K10/K14/K18ゴールド(イエロー・ピンク・ホワイト)、プラチナ(Pt900/Pt950)、真鍮など、幅広い金種に対応しています。詳しくは料金表ページをご確認ください。

Q. 納期を短縮することは可能ですか?

数量や加工内容によりますが、お急ぎ対応もご相談可能です。まずは一度お問い合わせいただき、スケジュールを確認させてください。

Q. データの修正や調整はしてもらえますか?

入稿データに不備や鋳造に不向きな部分がある場合は、当店から修正のご提案をいたします。壁の厚みが不足している箇所や、鋳造時に金属が行き渡りにくい形状など、経験に基づいたアドバイスを差し上げます。

CADデータからのキャスト、お気軽にご相談ください

初めてのご依頼でも安心。データ入稿から4営業日で納品いたします。
お見積もり・ご相談は無料です。

ご依頼・お問い合わせはこちら

参考文献・出典

← ブログ一覧に戻る